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アートとプロダクトの「背景」にあるストーリーを届けるために。

futoki worksでは、現代アートやスマートフォン、家電・ホビーといったプロダクトを扱う中で、 日々の取引や市場との向き合い方から得た視点をコラムとして発信していきます。 ここでは、人気作家の特徴や、正規流通チャネルにこだわる理由などを、できるだけ平易な言葉で整理していきます。

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最近のコラム

ART COLUMN 2025-10-30

現代アート市場で人気作家を選ぶときに大切にしている視点

「有名だから」「値段が上がっているから」だけではなく、その作家がどのような文脈で評価されているのか。 弊社が作品を取り扱う際に意識している、ごく基本的な考え方をまとめました。

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QUALITY / FLOW 2025-11-22

正規流通チャネルからのみ仕入れる理由

偽造品や不透明な商流を避けることは、結果的にお客様と自社の双方を守ることにつながります。 一般個人からの買取を行わず、正規チャネルに限定している理由を整理します。

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ART COLUMN 2025-11-26

日本政府が本気!「エンタメを基幹産業へ」2033年海外売上20兆円を目指す新戦略とは?

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現代アート市場で人気作家を選ぶときに大切にしている視点

現代アートの世界では、「人気作家」「話題の作家」という言葉がよく使われます。 しかし、単に名前が知られているから、価格が上がっているからという理由だけで取り扱いを決めてしまうと、 長期的にはお客様にとっても、事業としてもリスクが大きくなります。

弊社では、人気作家の作品を扱う際に、主に次のようなポイントを意識しています。

  • 作品がどのような「文脈」や「テーマ」の中で評価されているか
  • 国内外のギャラリーや美術館での取り扱い・展示の実績
  • 版元やギャラリーなど、一次流通の情報がどこまで追えるか
  • 作品のコンディションやエディション管理が適切に行われているか

特に重要だと考えているのは、「どこから来た作品なのか」が説明できることです。 作品そのものの魅力はもちろんですが、どのチャネルを通じて流通してきたのかが明確であるほど、 お客様に安心してご提案しやすくなります。

また、人気作家の作品は短期的な価格の動きだけに注目されがちですが、 弊社としては「その作品をどのようなお客様に、どんな文脈で紹介したいか」という視点も重視しています。 単に「高く売れるもの」ではなく、お客様の空間や事業のコンセプトに合うかどうか。 その観点から、取り扱う作家・作品を慎重に選定しています。

本コラムはあくまで一般的な考え方であり、特定の作家や作品の投資・購入を推奨するものではありませんが、 アートを「資産性」と「ストーリー性」の両面から捉える一つの参考になれば幸いです。

正規流通チャネルからのみ仕入れる理由

弊社では、スマートフォン・家電・ホビー・アートいずれの領域においても、 国内の正規小売店や公式EC、正規代理店など「正規流通チャネル」からの仕入れに限定しています。

その理由はシンプルで、商流の透明性とトレーサビリティを確保することが、 お客様との信頼関係を守るうえで最も重要だと考えているためです。

  • 偽造品・模倣品が紛れ込むリスクを極力低減できる
  • 仕入れ元・販売履歴が明確なため、説明責任を果たしやすい
  • トラブル発生時にも、原因の切り分けと対応が行いやすい

一般個人からの買取や、出所が不明瞭なルートからの仕入れは、 一見すると条件が良く見えることもあります。 しかし、中長期的に見れば、品質や真贋、資金の流れに関するリスクを抱えることになり、 結果的にお客様にも弊社にも負担が返ってくる可能性があります。

こうした考えから、弊社では一般個人からの買取・仕入れは一切行っておりません。 取引規模や単価にかかわらず、「どこから来た商品なのか」を説明できる状態でお届けすることを、 これからも方針として大切にしていきます。

日本政府が本気!「エンタメを基幹産業へ」2033年海外売上20兆円を目指す新戦略とは?

1. なぜ今、コンテンツに「国家」が本気を出すのか?

  • 1. なぜ今、コンテンツに「国家」が本気を出すのか?
  • 2. クールジャパンの失敗から学んだ「5原則」の衝撃
  • 3. 「創る」から「届ける」へ:戦略の具体的な柱
  • 4. まとめ:Act Now!今すぐ行動を

1. なぜ今、コンテンツに「国家」が本気を出すのか?

日本のエンターテインメント・コンテンツ(以下コンテンツ)は、人間の創造力と豊かな想像力によって、その価値を無限大(∞)に広げていく力を持っています。資源の乏しい日本にとって、人間の創造力こそが最大の資源であり、デジタル時代においてコンテンツの力はますます重要になっています。 現在、日本発コンテンツの海外売上規模は鉄鋼産業や半導体産業の輸出額に匹敵する規模とされていますが、各国が産業振興策を強化する中で、日本は世界シェアを落とす危機に直面しています。 こうした状況を打破するため、政府はコンテンツ産業を「経済を牽引する基幹産業・成長産業」として位置付け、2033年までに日本発コンテンツの海外市場規模を20兆円に拡大するという野心的な目標(2023年実績は約5.8兆円)を掲げました。

2. クールジャパンの失敗から学んだ「5原則」の衝撃

これまでの「クールジャパン政策」は、文化発信に留まったり、現場に恩恵が届きにくいなど、多くの課題を指摘されてきました。 新しい戦略の核心は、過去の反省を踏まえた「エンタメ政策5原則」です。 特に業界内で大きな衝撃を与えたのが、「作品の中身に口を出さない」「表現の自由」を制度として守る立場に転換したことを示しています。 他の原則と合わせ、支援は「単発・小粒」ではなく、「大規模・長期・戦略的」に実施され、ハイリスク・ハイリターンな「挑戦者を優先」することが明確になりました。これは、エンタメを「趣味や嗜好の領域」から「経済の基幹産業」へと格上げする、思想の変更でもあります。

3. 「創る」から「届ける」へ:戦略の具体的な柱

この20兆円目標を達成するため、政策の重心は「創作」だけでなく、「世界に届ける」ためのインフラ整備と産業の構造改革に置かれています。

① IPを軸にした経済圏の拡大

日本の強みである2次元コンテンツ(マンガ、アニメ、ゲーム)IP(知的財産)製造業や観光、地方産業までを巻き込む広範な「IPビジネス」として再設計されます。コンテンツが外交・経済・技術革新の「駆動力」となることが期待されています。 ② クリエイターへの還元と制作環境の改善

クリエイターの創造力を最大限に発揮できるよう、IP創造を起点とした「好循環」の確立が必須とされています。制作現場の人材不足や低賃金・不安定な労働環境の改善、および、公的支援による資金の大幅な拡充(経団連は2,000億円以上の予算拡充を強く要望)が求められています。 ③ デジタル技術(DX/AI)の積極活用

制作現場のDX(デジタル変革)多言語翻訳・ローカライズに活用され、世界同時リリースを現実のものにすることが期待されています。また、生成AI時代における著作権保護と技術の進歩を両立させるためのルール形成や支援も急務です。

④ 海賊版対策の最優先事項化

マンガを中心に深刻化している海賊版被害は、年間数兆円規模と見込まれており、最優先事項として官民一体での対策強化が図られます。特にベトナムを拠点とする海賊版サイトへの政府間交渉や国際連携の強化が強く求められています。

4. まとめ:Act Now!今すぐ行動を

この新たな戦略は、日本のコンテンツ産業にとって「千載一遇のレバレッジ(てこ)」です。成功の鍵は、政府が提供する「環境」と「資金」を、民間が「依存」するのではなく、「加速装置」として使いこなせるかにかかっています。 コンテンツの成長、進化、多様化が急激に進む今、「悠長に取り組んでいる暇はない」。民間主導でクリエイティビティを発揮できるよう、官民連携による一体的な推進体制の構築と「今すぐ取り組むこと(Act Now!)」が求められています。

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